TM MAGAZINE 2026年7月21日
米国ピーク・ミレニアルズの台頭で戦後の日米関係は米国側から破綻する
米国は、ミレニアルズとZ世代を豊富に抱える唯一の先進国である。全世代で最も多数派の1990-1991年生まれは「ピーク・ミレニアルズ」と呼ばれる。日本が変わることはないが、日本の飼い主である米国が変わり、既存の日米関係は破綻する可能性が高い。
先週お伝えしたように、今、米国の構造的転換点が迫っており、その余波によって日本が大きく揺れ動く可能性が高まっています。
戦後一貫して構築されてきた日米の歪な関係は、今後どのように変容していくのでしょうか?
その未来は、僕たちの人生にも関わる重大な問題です。
そこで今週は、迫る近未来について触れていきます。
まず、人口動態を見た時、日本、韓国、中国、欧州、英国などは少子高齢化を脱せませんが、米国は先進国の中では唯一、少子高齢化の罠に陥っていません。
いわゆるミレニアルズとZ世代を豊富に抱える唯一の先進国。それが米国の実態です。
そして、2028年と2032年の大統領選挙では、有権者の多数派がひっくり返ります。
戦後、巨大な帝国として君臨してきた米国が、今、確実に変容しようとしている。その余波は、世界規模で甚大な影響を及ぼすでしょう。
ここで注目点は、現在の共和党と民主党の二大政党を支えている多数派が、いわば反共時代の「古い米国人」になりつつある事実です。
この古い米国人の型は、反共時代を知らずに育ったミレニアルズとZ世代が多数派になった時、大きく変動します。
中でも米国の全世代で最も多数派なのが、僕と同じ1990-1991年生まれです。
この世代は米国内で「ピーク・ミレニアルズ」と呼ばれており、確実に発言力を高め始めています。
当然、この世代は一様な主張を持つわけではありません。
古い米国人を支えてきたキリスト教の福音派、あるいは強いイデオロギーとは無縁のため、個々が異なる価値観や主張を抱えている特徴が際立ちます。
しかし、基本的には帝国主義的な他国への内政干渉には反対であり、米国内の諸問題に着手することが先決だという考え方があります。
簡潔に言えば、自分たちの足元の生活が成り立っていない状況で、他国を政権転覆したり、戦争することは愚かだということです。
僕はこの「新しい米国人」が登場すると、既存の日米関係は「米国の変化」によって破綻する可能性が高いと考えます。
すると、歪みが生じます。
戦後、事実上の一党独裁を築いた自民党政権としては、現・国民の政権に対する不満を解消するために、是が非でも仮想敵が必要であり、他国に対する挑発、時には戦争によって国民の言動を管理し、政権維持を図りたい思惑がある。
ですが、自民党政権がここまで延命できたのは、担保に米国の安全保障タダ乗りがあったからです。
つまり、米国にとって自民党は利用価値があった。
安全保障のタダ乗りは、米国にとっても反共の砦として日本が価値を持っていたからこそ成立したことであり、共犯関係でした。
ですが、今となっては古い米国人の世界の昔話。
米国で世代交代が起こる時代では、新しい米国人にとって目障りな古い米国人の作った世界が、超高齢化社会の日本にそのまま残ることになります。
肝心なことは、日本では世代交代が起きないため、従来通りの作法で関係を要求することです。
古いシステム(日米関係)を知らず、利権を持たない新世代のリーダーにとって、これは解体されるべき悪しき存在と見做されるでしょう。
また、軍国化を進めて仮想敵との緊張を煽る未来の日本政府との間に、決定的な亀裂が起きる可能性も考えられます。
つまり、僕たちが生きる上で最低限予測できる近未来は、次に集約できます。
八年程度のスパンで見れば、日本が変わることはないが、日本の飼い主である米国が変わる未来は確実だと。
もう一つ見過ごせないことは、移行期は米国内で内戦に陥る可能性が高いため、米国の世界への介入度が必然的に弱まることです。その一端は、既に露呈し始めています。
この影響で、反動的に日本国内では反米(嫌米)が高まります。
その兆候は、先週7月15日に米国の調査機関ピュー・リサーチ・センター発表した大規模なグローバル調査の結果に現れています。
報告によると、調査対象となった36カ国のうち、25カ国で中国に対する好感度が米国を上回りました。
2002年に調査を開始して以来、これほど多くの国で中国が米国を上回ったのは初めてであり、対象国の多くで、米国のトランプ大統領よりも、中国の習近平国家主席の方が「世界情勢において正しい行いをする」という信頼度が高く評価されています。
一方で、日本、インド、韓国、フィリピン、ポーランド、イスラエルの6カ国では、引き続き米国に対する好感度の方が高かったことも併せて報じられています。
見逃せないのは、日本は中国への好感度が最も低い国の一つとして記録されたことです。
これは中国を仮想敵とする米国の意向が、最も反映された記録として読むべきです。
つまり、世界各国が米国よりも中国に信頼を寄せる新たな潮流に対して、日本は対応できていない。
この絶対的孤立は、今後日本の命取りとなるでしょう。
同時にこの潮流は、自民党ではない第三の政治勢力にとって、利用価値があることも事実です。
なぜなら、戦後史は米国が日本の主権を剥奪し、米国の利益のために従属することを強要した歴史として読むことができるからです。
もちろん、これは日本側の一方的な解釈です。しかし、反米感情を煽って自民党との差別化を図り、台頭しようとする第三の政治勢力にとって、この方法は最も現実的で都合が良い。
なぜなら、自民党と従米はイコールであり、自分たちはそうではないという態度の表明において、最も簡単で効果的なのは反米を打ち出すことだからです。
今後十年、僕たちは未曾有の世界の生きた証人となりますが、残念ながら、自浄作用が働かず、超少子高齢化社会に突入した日本は変わりません。
ですが、日本の宗主国である米国が変わるとき、その影響が最も顕著に現れるのも、また日本である事実を考えなければならないでしょう。