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映画は世界を平和に導くCinema Can Lead the World to Peace

「僕はもう80で死ぬけれども、映画には必ず世界を戦争から救う、世界を必ず平和に導く、そういう美しさと力があるんだよ。しかし、戦争はすぐ始められるけれども、平和を確立するには少なくとも400年はかかるだろう。僕があと400年生きて映画を作り続ければ、僕の映画できっと世界を平和にしてみせるけれども、僕の人生はもう足りない。」

この言葉は、映画監督・黒澤明が大林宣彦に伝えた遺言の一説です。時代を象徴する映画監督から、次の時代を象徴する映画監督へ伝えられた言葉は、今非常な生々しさを持って私に迫るように感じます。

黒澤は、さらに続けて大林にこう伝えます。

「大林はいくつだ? そうか50か。僕はもう80だ。しかし僕が80年かかって学んだことを君は60年でやれるだろう。そうすると君は20年僕より先にいけるぞ。君が無理だったら君の子ども、さらにそれがだめなら君の孫たちが、少しずつでも僕の先をやって、そしていつか僕の400年先の映画を作ってくれたら、その時にはきっと映画の力で世界から戦争がなくなる。それが映画の力だ。そのために僕は、さらに先輩である日本やアメリカやヨーロッパの人たちの映画から学んできたんだ」

映画の力……。

少なくとも現代の時代において、この映画の力を知っている人はいるでしょうか?

いや、映画の力を本気で信じている人はいるでしょうか?

「人間は本当に愚かだ。いまだに戦争もやめられない。こんなに愚かなものはないけれども、人間はなぜか映画というものを作った。映画は不思議なもので、現実をきちんと映し出す科学文明が発明した記録装置なはずだったけれども、なぜか科学文明というものは年中故障する。故障ばっかりするのが科学文明だ。でも故障したおかげで、記録が正確じゃなくて、人物がすっ飛んだり、とんでもないところに飛んでいったり、おかしな映像がたくさん生まれた。そしてそれを生かしていけば事実ではない、リアリズムではないけれども事実を超えた真実、人の心の真が描けるのが映画ではないか」

この会話が黒澤明が次世代の大林宣彦に託した遺言だったことを大林が初めて語ったのは、肺癌で余命宣告を受けていた2017年頃のことでした。大林宣彦と言えば、1977年にHouseで初の商業映画作品を発表し、サイケデリック映画のカルト的人気をもって鮮烈にデビューした監督です。その彼がいつ死ぬか分からない中でも映画制作を続け、抗がん剤治療が功を奏して一時は改善します。この黒澤からの遺言は、自らの死期が近いことを悟った大林が、後代の映画監督に向けて伝えた言葉です。

こうして延命した彼は、遺作にある映画を残してこの世を去りました。それが『海辺の映画館―キネマの玉手箱』です。個人的にこの作品は、大林宣彦が黒澤明の意志を次の世代に繋げるために残したものだと思います。同作品は映画史上、最も私の心の底を震わせた作品であり、この作品を見て私は初めて黒澤が語った「映画の力」を理解しました。

他国の指導者を堂々と虐殺し、恣意的に政権転覆する旧態依然とした統治の仕組み。

終わらなければならないものが終わらない時、歴史はいつも凄惨な結末に至る。

The Power of Cinema: A Testament from Kurosawa to Obayashi