湧き水と神の系譜Journey Through Kami Lineages
私は日本でロードトリップを頻繁に行いますが、そこで旅に欠かせないのが水の補給です。日本は島国の山岳地帯であり、火山も多いことから、各地に無数の良質な湧き水があります。そこで旅の楽しみの一つとして、各地で湧き水を補給しながら旅を続けるのですが、面白いことに自分に合う水と合わない水があります。
実際日本では、古くから自らが風土に合う土地を『水が合う土地』、逆に合わない土地を『水が合わない土地』と称します。これは元々はその土地の気候、土壌、水質などの環境条件を踏まえて、その場所で育つ植物や作物にとって最適な状態であることを指しますが、これが人間にも使用されるようになりました。
この慣用句を前提に、私は文字通り訪れる地域の湧き水を飲み比べ、それが感覚的に合っていると土地との適合性があり、逆に合わないと適合性がないと判断します。事実、単に湧き水であっても環境条件によって水質は大きく異なり、特に含有ミネラルや、自身の腸内細菌叢が好む水か否かという条件を非常に重視しています。それらがスピリチュアリティーに直結すると考え、こちらの調査も続けてきました。
これは神道の観点から見ても、昨日お伝えしたように『穢れ』に対する『浄化』の概念があり、『清祓(きよはらえ)』という神道の重要神事にも通じています。つまり、自分自身がその土地から湧く水と合えば、それは即ち最上級の『清祓』となり、心身を浄化して土地の霊力を存分に受けて元気になるということです。一見、これはスピリチュアルに思えますが、全国各地を巡りながら調査した結果、単なる迷信ではないと確信しています。
特に、私は古代史や先祖のルーツを探究する独自の旅を続けていることから、これらの観点を湧き水と組み合わせて洞察しています。なぜならば、こうした統合的な見地から見えてくるものがあるからです。それが『神の系譜』です。
『神の系譜』と聞くと奇妙に聞こえるかもしれませんが、自らの先祖のルーツと同程度に重要だと考えており、先祖が『見えるルーツ』だとすれば、神は『見えないルーツ』と位置付けています。ここについて詳しく独自の観点を開示すると、この神の系譜を理解しなければ、日本で無数にある神社を前にした時、どの神社に自分は参拝しても良いが、どの神社はダメなのかという判断ができません。神社はどれでも参拝して良いわけではなく、私はそこに奉祀されている主祭神や配祀の観点、さらには伝承などから自身の神の系譜と適合しているか否かを見極めることから始めます。これも昨日お伝えした、参拝前の準備です。
この時、現在の神社の祭神はShitsuraeで何度か伝えている通り、明治時代頃の神道改革の影響によって、多くの神社の祭神が古来から入れ替わっている可能性が多々あるため、そうした神道の歴史的背景などを総合的に考えながら判断します。読者にとっては不思議に思えるでしょうが、私はここを最も重視しており、自らの霊力を損失することを巧みに回避しながら、霊力を回復、あるいは高める神社にのみ出向きます。そこで独自の祈りを捧げると、不思議なことに霊力が高まり、運が循環して旅の質が上がると身をもって実感しています。
この判断の基本に据えているのが、『古事記』(712年)です。私にとって『日本書紀』は辞書のような扱いであり、何か必要なことがなければ読むことはありませんが、古事記は基礎に据えていることから、ここを基本に各地の伝承などを考慮しながら旅を設計します。中でも古事記に記されている『天つ神』と『国つ神』という重要概念が基本となります。これは神話に基づく神の系譜の概念ですが、簡潔に述べると「天つ神」は渡来系部族の奉祀する神、「国つ神」は在地系部族の奉祀する神のことです。
ただ例外も多くあり、元々は「国つ神」であっても、後に天皇の起源に深く関与した功績を持つ場合、これらの神は「天つ神」の系譜に組み込まれたり、また逆に「天つ神」でありながら、後に反旗を翻した場合などは「国つ神」に変更されたりします。そのため、これらを見極めるためにも古事記を踏まえた多様な神代の理解は必須となり、そこから自身の知見を統合して常に読み解いていきます。
私はこれまでの調査と実感から、「国つ神」系譜の神の系譜にあると理解しています。その中でも古代巫女信仰の強かった「国つ神」系譜に強い影響を受けており、霊的な観点から特に巫女信仰を有する土地の神社に参拝するケースが最近は多くなっています。これを同時に調査している古代日本史の観点から見ると、弥生時代に日本に渡来した部族集団の奉祀する神ということになります。すると前述の観点ではそれは「天つ神」のはずですが、ここが難しいところで、古事記の系譜の観点からどちらかを真剣に見極めており、特に「天つ神」とは言っても、私が特別に参拝してはいけない神の系譜があります。つまり、これらは多様なのです。
それが天皇の皇祖神に位置付けられた『アマテラス(天照大御神)』を奉祀する部族集団、さらにアマテラスに服属して渡来した部族集団の奉祀する神です。例えば、今朝は因幡国(現・鳥取県東部)の山間部に建立されている神社に参拝しましたが、そこに奉祀されているのは巫女の神である『ヤカミヒメ(八上比売)』です。ヤカミヒメは古事記の出雲神話に登場する女神ですが、興味深いことに土地の古い伝承では、このヤカミヒメを奉祀する部族のルーツは大陸にあり、渡来して同地を開拓したと伝わります。つまりヤカミヒメとは、この渡来系部族『ヤカミ一族(八上一族)』の末裔なのです。
今朝、その神社で祈りを捧げていると、偶然土地の高齢の女性と出会ったことから、神社の境内で古い伝承から土地の習俗など多くの知見を授かることができたのですが、彼女によるとヤカミヒメが渡来系部族の末裔だという伝承は古くから確かに村落に伝わっているということです。私は古代史の観点から、巫女による神事を神格化する部族形態は弥生時代の特徴の一つであり、中でも弥生時代初期頃がその最盛期にあたると考えているのですが、自説に基づけばヤカミヒメもこの時代の神ということになります。
事実、辺鄙な土地でありながら、なぜか親近感を覚えた私は、この土地に三ヶ月で二度も来訪しており、このヤカミヒメとの間に何か深い縁を感じています。不思議な話ですが、こうしたことは無数にあるのです。無論、ヤカミヒメだけが私の神の系譜ではなく、他にも様々な神との縁を持っていますが、こればかりは『私の神の系譜』であるため、他者は全く異なることから、一人一人がそれぞれに探究する以外に方法はありません。そこで近しい友人に限って、独自の神の系譜の探索方法を伝授しています。
自らの神の系譜に位置する神社を参拝しに出向くと、不思議と土地の人に遭遇するもので、しかも土地の霊力と自身の霊力のシグナルが一致していることから、土地の人は何かを感じて様々なことを教えてくれます。これが次の目的地を開く重要な鍵となるのですが、まるで現実世界で神の系譜を探究する架空のロールプレイングゲームを行なっている感覚です。一つ一つ適切な課題をクリアすると、次のステージに進めるといった具合で、このような感じで年々、自らの先祖のルーツに限らず、神の系譜のルーツにも到達することができました。
そうして実体験と体感をベースに、先祖のルーツを神の系譜のルーツを古代日本史、神道史、考古学、民俗や習俗、湧き水など多様な観点を統合して分析し、少しずつ核心に迫っているのが最近です。
これは日本の神の起源を知る旅とも言えますが、このように日本の神は本当に理解することが難解で、そこから生まれた日本人の特殊な信仰も読み解くことは非常に困難だと言えます。だからこそ、まずは難しい話を抜きにして、体感が最も分かる湧き水から自分に合った土地を判断し、そこに奉祀されている神の神社に参拝するなどの経路が好ましいと考えています。
まだ数年かかるでしょうが、私は日本人のみならず、日本を理解しようとする深い知性と意欲を持つ外国人に対して、その一人一人に合った日本の土地、そして神を奉祀する神社を個別に教えることを考えており、それを踏まえて日本の旅を誰よりも深い観点から楽しむ旅の方法を思案しています。実は現在個人的に行なっている調査は、今後の大きな展望の一つの基礎調査であり、そこから読者が参拝すると霊力を回復する神社、さらに参拝してはならない神社を炙り出し、それに応じた旅の提案を行うことも考えています。
このように神秘的な日本を巡るには、インターネットやAIの情報では物足りず、どうしてもこうした観点からの個別提案が求められます。これこそ次の時代の旅に思えてなりませんが、もしも近々日本でロードトリップをする予定があるならば、まずは各地の湧き水を徹底的に飲み比べ、自分に合った水を理解することから始めましょう。その先に、あなたにとっての日本の神が見えてくるのです。