縄文時代から続く日本人と大麻Japan's 10,000-Year Cannabis Legacy and the Global Green Rush
世界的にグリーンラッシュ(大麻産業の解禁)が広がる影響から、多くの方々が関心を寄せる日本の「大麻」の存在。日本でもようやく医療用大麻の使用が合法化する動きになりましたが、今後、日本産大麻はどのような未来に向かうのでしょうか?
2023年12月13日、半世紀以上も続いた「大麻取締法」及び「麻薬及び向精神薬取締法」の改正が公布されて、2024年12月12日から第1段階として医療用大麻の使用が認可されました。しかし、一方で娯楽目的での大麻の使用は極端に厳罰化され、新たに「使用罪」が新設されて処罰の対象に加えられました。
ようやく第一歩と呼べる2025年の日本の大麻解禁が始まりましたが、実は日本人と大麻の歴史は想像以上に深い関係を持っています。そのことについて、今回は見ていきます。
20世紀の時点で考古学者は、福井県沿岸部にある鳥浜貝塚遺跡を調査した結果、縄文時代早期に大麻が日常的に使用されていた痕跡と遺物を発見しました。この時に発見されたのは「大麻製の縄」と「大麻の種」だったのですが、年代測定の結果、何と約12,000年前の遺物であることが判明し、縄文人と大麻の関係について大きな注目を集めます。
また、新潟県津南町にある紀元前9,400年頃の縄文遺跡からは大麻の花粉が検出され、千葉県館山市にある紀元前1万年の縄文遺跡からは大麻の果実が出土しています。これらの報告の多くは、大体2000年後半から2010年代にかけて発表されており、今後もさらなる発見が相次ぐことが予想されます。
このことから、大麻は既に縄文時代早期の時点で、既に日本列島各地に存在していたと考えられます。何よりも興味深いことに、福井県の縄文遺跡から発見された大麻の使用痕跡は、世界中の考古学的発見の中では、最も古いことが判明しました。
つまり驚くべきことに、「大麻と日本人の関係」は1万年以上にも及ぶことが判明したのです。
この「縄文時代」という日本独自の時代区分は、考古学者によって発見された「土器の模様」、より正確には「縄目模様の土器」を使用していた時代に由来します。この模様は様々な縄や糸によって形成されていますが、この歴史的発見によって、その1つが大麻であることが判明したのです。
ただし、縄文時代早期は植物の栽培化は行われていなかった可能性も高いため、これらの大麻は日本列島に自然生育していたと考えるのが妥当です。それでも遥か昔から、日本人のライフスタイルに大麻が深く関わってきたことは事実です。
注目すべきは、その幅広い用途です。どうしても大麻と聞けば、昨今のグリーンラッシュにおける医療用や娯楽用の摂取ばかりが注目される傾向にありますが、それは大麻の機能(可能性)のわずか一部分でしかありません。
例えば、縄文人は基本的に狩猟採集生活を営んでいたので、日常的に食料を得ることはできませんでした。しかし、大麻は他の植物よりも生育が早く、また様々な自然環境で育つ特有の性質があります。
その性質を熟知していた縄文人は、大麻を食料、釣り糸、服などのライフスタイルに多様に用いました。これが大麻をライフスタイル全般に適応してきた日本人の源流です。
さらに注目すべき点として、縄文時代から日本人は、大麻を部分的に使用するのではなく、根・茎・葉・花・実の全てをライフスタイルに取り入れて活用してきました。この伝統的なサステイナブルな活用法は注目に値します。また昨今、ゼロウェイスト運動が西洋でも活発ですが、日本人にとっての大麻は、まさにゼロウェイストの象徴であったと言えるでしょう。
まだ現時点では、大麻が元々日本列島に自生していたのか否かについては定かではありません。暫定的に考えられているのは、中央アジア原産の大麻が縄文時代よりも遥か以前に、後にシルクロードと呼ばれたルートを通って中国に伝来し、日本に到達していた可能性です。
もちろん、縄文人のライフスタイルを支えたのは、大麻だけではありません。それでも改めて注目が集まり始めた世界的な大麻の見直しに準じて、今一度、一万年以上もの関係を持つ日本人と大麻について、探究することは重要でしょう。