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第1回:なぜ現代の日本人は健康を失ったのかPart 1: Why Have Modern Japanese Lost Their Health?

数回に渡って、日本人が健康を失った新たな食生活と、その影響を見ていきます。二十世紀後半に世界一利便性が高いと評価された日本の現状から現代の健康問題を見直すことは、きっと多くの方々が健康に向き合うための重要なヒントとなるでしょう。

さて、伝統的な食文化(和食)に加えて、世界的に見ても長寿国である印象から、日本は健康的な人々が暮らす国というイメージが持たれる傾向にあります。

しかし、こうした魅力的な伝統的要素を持っているにもかかわらず、実際には多くの日本人が慢性的な不調に悩んでいます。現代の日本人が抱えるこの矛盾を紐解いていくと、「便利さ」の影に隠れた第二次世界大戦後の食生活の変化が大きく影響していることが見えてきます。

その変化を象徴する存在が、コンビニエンスストアです。

日本初のコンビニエンスストアは、1969年に大阪府豊中市で誕生しました。その後、1974年にアメリカの「セブンイレブン」が東京都豊洲に開業すると、瞬く間に全国的に広がります。

特に経済成長の恩恵を受けた1980年代以降、24時間いつでも手軽に食品を手に入れられる利便性が広がり、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートに代表されるコンビニチェーンは、日本人の生活に欠かせない存在になりました。

私自身は1991年生まれであるため、幼少期から当たり前のようにコンビニ食品を食べて育つ友人たちを多く見てきました。当時は、その食生活が将来の健康に悪影響を与えるなど、誰も想像もしていなかったのです。

ですが、現在の日本に広がる慢性的な体調不良やアレルギー、原因不明の倦怠感や疲労感の背景には、この便利さに隠れた「食の質」の問題があります。

日本のコンビニエンスストアに並ぶ食品の多くを見てみると、ほとんどが小麦粉、砂糖、化学調味料や添加物から作られていることが分かります。

パン、おにぎり、弁当、麺類、スナック菓子から飲料など、どれも簡単に飲食できるものばかりですが、これらを日常的に摂取することで、日本人はいつの間にかオーガニックなローカルフード中心の食生活から、「加工食品中心」の食生活に変わってしまったのです。

中でも深刻な問題となっている食品が、日本人の食生活に急激に浸透した「小麦」です。

小麦は歴史的に見ると、日本人の主食ではありません。日本人は、農耕文化が始まる弥生時代以来、長らく米、雑穀、芋を基本的に主食としてきました。小麦が一般庶民にも普及したのは江戸時代からですが、当時の小麦は、米が育たない特定地域に限定された食品であり、多くの日本人にとっては、あくまでも「補助的な食品」に過ぎませんでした。

戦前の日本映画を見ても、小麦の食生活はほとんど見られません。

その状況を大きく変える出来事は、実はかなり最近起きました。それが、第二次世界大戦後の食糧政策です。

戦後日本は極度の食糧難に陥っており、栄養失調で大勢が死亡する問題に直面していました。そこで、突然の戦争終結により米国内で大量に余った農産物の中でも、とりわけ小麦が日本に大量に輸出され始めます。

これは戦後すぐに行われますが、特に重要なのは、1954年に米国で成立した『余剰農産物処理法(PL480法)』です。これ以降、米国内で消費できない小麦は、非常に安価に、または無償で大量に日本人に提供され始めます。

しかし、歴史的に小麦中心の食生活とは縁の薄い日本人は、中々小麦中心の食生活に移行しません。そこで米国から毎年大量に輸入される小麦粉の処分に困った日本政府は、既に食糧生産が回復し、米が十分に生産できたにも関わらず、不必要な小麦を処分する場として、日本の学校給食制度に目をつけます。

こうして政府主導でパン中心の給食が全国の学校に広がり、成長期の子供たちが毎日のようにパンを食べる新たな食生活が誕生します。戦後の栄養状態の改善問題と、米国の農産業の事情が一致したことで始まったこの政策は、一見良策のように思えますが、それは戦後の一時に限った評価であり、長期的には深刻な問題を生み出す源泉となります。

それは、何千年もかけて米や雑穀を中心に育まれてきたこの土地の食生活と、小麦中心の食生活とでは、体への入り方が大きく異なっていたことです。

特に戦後以降、米よりも安価に入手できる小麦粉を使ったパンやパスタ、ラーメン、菓子類を常食するようになったことで、多くの日本人が気づかないまま慢性的なアレルギー症状や消化不良、集中力の低下や疲労感などの体調不良を抱えるようになりました。

また、小麦に限らず、砂糖や添加物も依存性が高いため、いったん食べ始めるとやめられなくなるのも問題です。それらが子供の頃から食される影響は、長期間には計り知れない健康リスクをもたらします。

その結果、日本の食生活自体は豊かになったのですが、食生活で重要な「質」が著しく低下し、「新型栄養失調」と呼ばれる、カロリーは足りているが必要な栄養素が不足している状態に陥ります。

私たちは今、誰もがこうした現代社会の食生活の利便性の裏にある深刻な健康リスクに直面しています。特に問題なのは、多くの人がそれを当たり前と感じ、自らの土地に根差した食生活を歴史的観点を踏まえて再考する機会すら持てなくなっている点です。

そのため、今こそ二つのことを改めて考える必要があります。本当に、私たちの体は毎日食べている食品に適応できているのか。単に便利さと引き換えに、健康を失っているのではないか。

これは和食カルチャーが欧米で広がった今、改めて注目すべきことです。なぜならば、食はそれぞれの土地の風土と暮らしのなかで育まれたものであり、場所を移せば同じようには体に入らないことがあるからです。和食も、その土地を離れたときにこれまでにない健康リスクを引き起こすことがないかを、思案しなければなりません。

この問題に気づくことが、日本人に限らず、本来持っている人間の健康的な生活を取り戻すための第一歩になります。人々が健康ではない社会が、良くなるはずがありません。

次回以降の記事では、小麦を中心にした日本の食生活の歴史や、その影響を科学的な視点も交えて掘り下げ、最後には「伝統的な食生活」を取り戻すことで、現代の健康問題を改善する具体的な方法を考えていきます。