スピリチュアル神道の夜明け:三大新宗教The Dawn of Spiritual Shinto: The Three Major New Religions
これまで、幕末から近代に入る神道の宗教化に関する過程を見てきましたが、それはあくまでも体系化された宗教の話です。当然、そこには表では語られないスピリチュアリティーの存在があります。
では、そこに影響与えた神道とは何なのか。ここを洞察することによって、現在、大勢の人々が考える神道の神秘性が開示されるのです。今回は、その近代神道のスピリチュアリティーに影響を与えた別の系統について、基礎を示します。それは新宗教と呼ばれたものですが、初期的な新宗教の流れは、3つありました。
まず最初は、1814年に岡山県で始まった黒住教です。開祖は代々、地域の神社に仕える神道家の家系に生まれた黒住宗忠(1780-1850)です。
宗忠の人生を変えたのは、1812年です。33歳の時に両親が相次いで病気で亡くなり、看病に明け暮れていた彼自身も肺結核を患い、絶望の果てに衰弱し、死を覚悟します。容体がおもわしくなかった宗忠は、「今日が最後の日だ」と覚悟して日の出の太陽を拝んだところ、突如、自身の内面に大きな変化が起こり、あっという間に病を克服する神秘体験を経験します。
そして1814年の冬至、日の出に祈りを捧げていると、宗忠は神と一体になり、悟りの境地を得て、布教活動を開始します。以降、死去するまでの37年間、多くの託宣を用いて活動を続けた宗忠は、人々の病を治癒し、超人的な力と利他的な心が崇敬され、厚い信仰を集めました。ただし、宗教教団として設立は、1846年です。
現在も黒住教は、約300程度の活動拠点を持ち、約300,000人程度の信者を有しています。
続いて、奈良県で始まった天理教です。1838年、もともと浄土宗の信者だった中山みき(1798-1887)が40歳の時、長男の病を回復させるために、山伏に祈祷を依頼したことに始まります。この時、中山みきは憑依状態に陥り、突如、神の言葉を語り始めます。
以降、彼女も多くの託宣を人々に捧げ、病を治癒したり、財産を売り払って貧者に与えるなどしていましたが、親族を含めた当時の人々からは、狂人扱いされていました。実質的に彼女に信仰が集まり始めたのは、晩年の1865年以降のことです。これは時代が、明治維新を迎える動乱期であったことが大きく関係しています。先が見えずに不安に怯える人々の心が、宗教に向かったからです。
また、天理教は中山みきを開祖に位置付けますが、教団の設立自体は、明治時代が始まってから15年も経った後の1882年です。孫の中山眞之亮(1866-1914)によって立ち上げられました。
一時の勢いはなくなったものの、新宗教の中で最も繁栄したのは天理教です。現在も約14,000の活動拠点を持ち、約1,200,000人の信者を有しています。今も奈良県には天理市がありますが、事実上、ここは日本で唯一の宗教教団の名前を冠した宗教都市です。大勢の信者が今もこの地に代々住んでおり、無数の宗教施設、神殿、宿舎、また大学などが立ち並んでいます。
そして最後に、金光教です。こちらも1859年に岡山県で始まった新宗教で、農家生まれの赤沢文治(1814-1883)が開祖となります。文治は42歳(1855)の時に大病を患い、医師から治療法はないと言われて見放されますが、この時、親族が治癒を願い、祈祷を行う姿を見て、強い信仰心が芽生えます。
そして46歳の頃に神憑りが起き、神からのお告げを通じて、以後、数々の神秘体験を経験します。そして1859年、ついに農業をやめて布教に集中することを決断し、多くの人々のために活動しました。
この金光教も、開祖は赤沢文治ですが、教団の設立自体は、天理教より少し遅れた1885年です。現在も金光教は、約1400もの活動拠点を持ち、約350,000人の信者を有しています。
かつては栄華を誇ったこれらの新宗教ですが、現在は力がありません。ただし、これら3つの新宗教の流れは、江戸時代を通じて強固だった、神道の閉ざされた仕組みを脱する新たな動きとなり、大きな影響を及ぼします。
以前、書いたように、当時の神道は大きく2つの系譜が幕府によって公認されており、ともに京都に本拠地を構える吉田家(吉田神道)と白川家(伯家神道)によって、事実上独占されていました。当時、神職が新たに活動する場合、吉田家か白川家より認可を受けなければなりませんでした。
その状況に対して、新時代を目論み、最大宗教である仏教への対抗として神道を統合したのが、国学者の平田篤胤(1776-1843)です。そして、近代の神道を見る際に重要となってくるのですが、この平田は復古神道の開祖でありながら、同時に異世界への興味を強く持っていたのです。
ここから近代にかけて、大きなスピリチュアルムーブメントが始まったのです。
スピリチュアルな神道の始まり: 三大新宗教