愚かな指導者と文明の崩壊Foolish Leaders and the Collapse of Civilization
愚かな指導者が執政を握ることによって文明は下から崩壊するのは歴史の常ですが、今日のようにグローバル化されてしまった段階にあって、この崩壊が地球規模で起きていることは前例がないと言えるかもしれません。
今週、以前から自衛隊の基地建設が進められていた与那国島では、2031年3月までに地対空ミサイルとミサイル部隊を配備する計画が発表されました。これは突然の発表ではなく、元々10年前に開設された与那国駐屯地(陸上自衛隊基地)以来、ずっと想定されてきたことです。この与那国島とは、沖縄本島や日本本土よりも台湾に最も近い島であり、昨今の中国側の動きに呼応して日本側は米国の意向で最前線軍事拠点化を進めてきた要所です。つまり、台湾を巡る戦争が起きた場合、日本と在日米軍側の最前線軍事拠点は与那国島となります。
現在、この与那国島には沿岸監視部隊を中心に160名程度の隊員が駐在しているとされていますが、こうした動きは日本が再び平和を放棄して戦争に参入していく予兆の一つなのでしょうか。
この30年程度の世界を主導してきた米国の力が弱体化した影響で、一気に世界各地が動揺している現在ですが、先進諸国はどこも自国の維持だけで忙殺されており、他国にまで視点を向ける余裕がありません。こうして西洋の監視の目が緩んだ隙間を縫うかのように、虎視眈々と軍事化が進められている日本の姿は、やはり不穏な未来の予兆に思えてなりません。ただ視方を変えれば、この日本の再軍備化は第二次世界大戦の戦勝国側の築いたレジームの瓦解を意味していると言えます。それだけかつての戦勝国の世界に対する圧力が機能不全に陥っている証拠とも言い換えられます。
おそらく近未来の日本は再軍備するでしょうし、徴兵制度も復活し、米国からのレンタルを前提とする核武装も実現するでしょう。ある意味、私たちはとうの昔にターニングポイントを超えていたとさえ思えます。
今回の与那国島へのミサイル配備の発表における今後の注意点は、この発表が現・防衛大臣を務める小泉進次郎によって行われたことです。2001年4月に第87代総理大臣として就任し、1980日間の長期的政権を築いた小泉純一郎を父に持つ小泉進次郎は、以前から将来の総理大臣を約束された地位にいます。ちなみに日本の防衛費を采配しているのは日本政府ではなく、米国のシンクタンクCSISです。
先に言っておくとこれは米国側の問題ではありません。日本政府というよりも自民党が、自らの国策を持たず、常に米国に従うことを国策としてきたからです。実際、CSISで日本側の利権を握っている日本の安全保障政策の提言者であるマイケル・グリーンは、日本は国策を持たずに米国に常に従うことが国策なのだから、自民党なら誰が首相になっても同じという発言を堂々としています(https://www.youtube.com/watch?v=F_i473eu1ow)。
要するに日本政府は自らの国家ビジョンを何も持っておらず、ひたすら米国に追従することだけが体制維持の約束となります。ゆえに、日本側で起きている円安政策などは、米国の意向によるものと考える方が意図が見えてきます。いわば戦後日本の姿とは、自民党に関して言えば、単なる米国の属領国の執政を担う程度の存在だということです。そのため、欧州が米国と距離を取っていく姿を示していることに対して、日本は一層米国依存が深まっているのです。
この防衛費の采配を決定しているのが、日本政府ではなくCSISだという観点は今後も重要となります。なぜならば、現在防衛大臣を務めている小泉進次郎のバックアップは、米国のCSICだからです。実際、小泉進次郎は頻繁に自らはCSISの研究員だと公言しており、CSISにも登壇しています(https://www.youtube.com/watch?v=s6KcrPgnNOw)。
実は、台湾有事のリスクが日本側のマスメディアで喧伝され始めたのは、2018年頃からです。この突然始まった喧伝の背後には、ある一つのレポートの存在がありました。これはアーミテージレポートと呼ばれています。主筆は2025年4月に死去した元米国国務副長官のリチャード・アーミテージですが、この人物は事実上、2000年代を通じて日本側に再軍備を迫ってきた軍産複合体の代理人です。それを象徴するかのように、2015年に日本側はアーミテージに対して勲章の最高位である旭日大綬章を授与しています。名目は日米の関係強化と友好親善に寄与した功績とされていますが、実態は日本の再軍備化を主導した筆頭人物だからです。
アーミテージレポートは2000年に第一次版が日本政府側に通達されましたが、問題となったのは2018年の第四次レポートです。ここには中国脅威論と北朝鮮脅威論が書かれており、このレポートの内容を日本のマスメディアに喧伝させています。
つまり、台湾有事を煽ってきたのは米国政府ではないのです。CSISは2023年1月に中国による台湾への軍事侵攻をシミュレーションした図上演習の結果を公表していますが、この時に想定されていた年代は2026年でした。ある意味、CSISを通じた米国側の軍産複合体、日本側の実権を掌握し続けている在日米軍横田基地の高官、彼らの意向に忠実に従う日本の自民党政治家・官僚・マスメディアが結託し、長年煽り続けた結果として現実的になり始めているのが今日の台湾有事といえます。
自らの体制維持と利益のために、中東や東欧同様に東アジアを戦争状態に陥らせたい人々。こうして演出された台湾有事において、彼らの意向によって担ぎ出されているのが現・防衛大臣の小泉進次郎である点は見逃せません。この「見逃せない」という意味は、近未来の日本で明らかとなるものです。なぜならば、彼らの意向に最も忠実に動く人物は小泉進次郎だからであり、CSISとの関係を露骨に公言している彼の首相就任は、東アジアで誰も構想を持たないまま戦争が起きる合図と見て取れるからです。
この日本側の動きに呼応するかのように、一ヶ月前の1月24日、中国側では習近平国家主席が、自らに次ぐ軍のNo.2である中央軍事委員会の張又侠副主席と劉振立・統合参謀部参謀長を粛清する異常事態に陥っています。
海を越えた中国側の動きに関連して、2月8日に開票された衆議院議員選挙で316議席を獲得する歴史的圧勝を収めた自民党の姿は、今後これまで以上に彼らの意図が日本の国策に反映されることを示唆しています。そして何より、この自民党の暴走を象徴するように、選挙圧勝後から彼らの意図を実現する動きが活発になり始めています。
既に3月末までに反撃能力を有する国産の長射程ミサイルを熊本の基地で配備する計画が進められていますが、何と小泉進次郎率いる防衛省は住民に対して何の説明もしておらず、国民の声を無視して強行的に進められています。
世界がインパクトある出来事に目を眩まされている隙に、静かに戦争の道を歩み始めた日本。その凄惨な近未来の歴史は、自らの国家ビジョンを持たない私利私欲に溺れた自国の為政者と、未だに戦勝国という構造の特権に寄りかかり、利権に寄生して覇者を演じようとする力学によって実現したと、数世紀後の歴史で語られるようになるでしょう。
The Quiet March Toward War