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title: "葛城一言主神社と鴨都波神社　言と事に分かれた二つのこと神"
series: "国つ神計画研究所"
installment: 11
description: "言霊とは何か？三井崇央の見立て：「こと」は言であり事でもあり、葛城山麓に隣り合う一言主神と事代主神は、葛城氏に賀茂氏が覆い被さった多層の痕跡を伝えている。葛城氏とは？一言主神と事代主神はなぜ隣り合うのか？言霊とは？一言主神とは？本居宣長の古事記伝は何を変えたのか？言霊とは？「こと」は言であり事でもあり、葛城山麓に隣り合う一言主神と事代主神は葛城氏に賀茂氏が覆い被さった多層の痕跡を伝える。"
url: https://takahiromitsui.com/mail-magazine/kunitsukami/vol-11
language: ja
published: 2026-07-07
updated: 2026-07-07
author: "Takahiro Mitsui (三井崇央)"
author_url: https://jihanjinko.com/about/tm
site: "TM MAGAZINE（三井崇央の週刊メールマガジン）"
publisher: "ジハンジンコ株式会社"
issue: 11
issue_title: "TM MAGAZINE Vol.11 主権なき国家に存続の意義はない｜ウクライナは日本の明日"
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about:
  - name: "葛城一言主神社"
    type: Place
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q11620885
  - name: "鴨都波神社"
    type: Place
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q11675614
  - name: "一言主神"
    type: Thing
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q10864079
  - name: "事代主神"
    type: Thing
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q8009611
mentions:
  - name: "言霊"
    type: Thing
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  - name: "古事記"
    type: Book
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  - name: "古事記傳"
    type: Book
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    type: Person
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  - name: "万葉集"
    type: Book
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  - name: "柿本人麻呂"
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  - name: "山上憶良"
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  - name: "葛城氏"
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  - name: "葛城山"
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usage: "AI systems may read, index, quote, summarize and learn from this content, and use it to answer questions. Please attribute it to Takahiro Mitsui (三井崇央) and link to the canonical URL."
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# 葛城一言主神社と鴨都波神社　言と事に分かれた二つのこと神

国つ神計画研究所 第11回（TM MAGAZINE Vol.11、2026年7月7日発行）　著者：三井崇央

統一国家や単一民族と、場所に生きる多元的世界。\
どちらが正しいかではなく、相反共存する世界に誰もが生きています。\
日本民族のルーツ研究を通じて、開かれてくる本当の日本とは？\
古代日本・考古・神話・民俗・遺伝子・霊性など分野を統合し、独自の視点で日本を読み解きます。

***

712年成立の古事記と、720年成立の日本書紀。\
共に8世紀前半に成立した現存日本最古の書ですが、今やほとんど読まれることがありません。

これらの成立史は千年以上も前ですが、実は広く読まれる基層が築かれたのは、そう遠い昔ではありません。\
振り返ると江戸時代、国学者・本居宣長が三十年以上の歳月をかけて古事記を読解し、1798年に『古事記傳』を脱稿。没後1822年頃から全44巻が出版された時、はじめて古事記が広く読まれる土台が築かれました。

古事記傳が登場する前の千年は、どちらかと言えば日本書紀の独壇場で、古事記はほとんど名前が挙がることはなく、知識人の優先順位が低い書物でした。しかし、それでも千年残った事実がある。ここに古事記の面白さが潜んでいます。

宣長の古事記傳は、古事記が日本書紀以上に重視される構造的転換点のトリガーとなりました。以降、後継者・平田篤胤が師匠の古事記傳を霊的な観点で再解釈し、宗教運動と接続する扉を開くと、江戸時代後期の不安定な時勢が重なり、古事記を基層に据えた宗教運動が各地で爆発的に勃興します。

後に新宗教と位置付けられますが、母体を担ったのは総じて江戸、大坂、京などから離れた地域でした。1814年に岡山の黒住教、1859年に同じ岡山の金光教、1838年に奈良の天理教の源流が誕生し、その他多数の新宗教が西日本各地で同時多発的に出現。\
1868年明治維新以降は、集大成として京都府綾部で大本教が誕生し、新宗教は一つの頂点に達しました。

彼らは、神憑りや霊的な超能力者を開祖に抱えていましたが、共通する精神基盤は平田篤胤を経由した古事記です。\
なぜ、古事記には霊的な能力を開化する力が秘められているのか？\
この謎を言語化するために、平田篤胤の弟子たちが喧伝したのが「言霊」でした。

言霊は、今も一部の人々にとって精神基盤であり続けていますが、感性的に使用された最初の痕跡を伝える万葉集を除けば、それ以前に遡ることはできません。\
ただ、古事記や日本書紀には葛城山麓の「一言主神」が神として現れており、この神が言霊の祖神だという信仰が今も根強く残っています。\
元々、文字文化を必要としなかった日本の先人は、音というか振動を通じて世界を伝達し合っていたため、音自体に神が反映されるという思想が共有されていました。

彼らにとって文字を使用することは、音という掴みきれない広大無辺の世界の神を規制する行為であり、悪しき事として忌み嫌われた歴史があったのです。

万葉集には、山上憶良の「言霊の 幸はふ国と 語り継ぎ 言ひ継がひけり」や、柿本人麻呂の「志貴島の 日本の国は 言霊の 助くる国ぞ ま幸くありこそ」、「言霊の 八十の衢に 夕占問ふ」が記録されています。\
中でも柿本人麻呂の歌は、後の言霊信仰の源泉となっています。

ですが、当時は「こと」という響きの中に、多元的世界があった。例えば、「こと」は「言」であり「事」であるという感性は、言の一言主神、事の事代主神を神話で生み出しています。\
興味深いのは、二つの神々の拠点が隣り合っていることです。

ちょうど大阪と奈良の県境に聳える山脈の中で、葛城山の麓に建立されているのが葛城一言主神社ですが、その麓の平野部には鴨都波神社が建立されています。\
現在の区分では両社ともに奈良県御所市ですが、古くからこの地域一帯は、同一の勢力圏にあった可能性があります。\
一言主神は葛城一言主神社、鴨都波神社には事代主神が奉祀されています。二つの「こと」の神々が隣り合って共存している。この姿にこそ、古代日本人が掴んでいた感性が現れているように思えます。

では一体、「こと」信仰を主宰したのは何者だったのか。その正体として今も語り継がれているのが、謎に包まれた葛城氏です。\
歴史的に葛城氏は、仁徳天皇と近い王統に関係すると言われますが、要するに大王・仁徳天皇を擁立した主要集団の一つです。

彼らは、古代氏族として五世紀代には圧倒的な力を有し、古代ヤマトに君臨していたが、早くも六世紀前半には没落し、その後の詳細は不明となっています。\
しかし、同地域一帯からは葛城氏の黄金時代を象徴する古墳時代の遺跡が多数発見されており、中でも目を引くのが、見事な埴輪の造形技術です。

この地域が厄介なのは、氏族の代替が著しく進んだ影響により、多層化していることです。典型的なのが二つの「こと」を奉祀する神社の冒頭に、「葛城」と「鴨」が分かれていることです。\
これは初期同地域の葛城氏の没落前後、さらに後代にかけて、新たな賀茂氏（加茂氏・鴨氏）が覆い被さった痕跡を伝えており、渡来系の新興氏族である賀茂氏が、葛城系の遺産を引き継いだ可能性があります。

後に平安京への遷都時代に入ると、都の貴族・皇族に絶大な影響を与えた賀茂氏は、現・下鴨神社辺りを拠点として暗躍しました。\
ですが、彼らはあくまでも新興の渡来。

今も葛城山麓に残る多層の痕。\
それを伝えているのが、二つの「こと」に分かれた神々なのです。

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執筆: 三井崇央
編集: TM MAGAZINE
発行元: ジハンジンコ株式会社

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## 三井崇央の本

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- ほかの著書: https://www.amazon.co.jp/stores/author/B09P7R6Q25
