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title: "『誘拐報道』と東映東京　低迷期にも残った東映の速度"
series: "KINEMA 2400"
installment: 27
description: "『誘拐報道』は東映の何を残しているのか？熱を失った低迷期にも、事件をすぐ映画にする東映の速度が残っている、と三井崇央は読む。東映東京と東映京都の違いは？『誘拐報道』とは？任侠映画とヤクザ映画で威勢を誇った東映は、1970年代の後半に勢いを失った。1982年の『誘拐報道』は東映東京と日本テレビの製作で、1980年に宝塚市で起きた幼児誘拐事件を素材にする。熱はなくとも、事件をすぐ映画にする東映の速度が残っている。東映が苦手な人の入口にもなる。"
url: https://takahiromitsui.com/mail-magazine/kinema-2400/vol-27
language: ja
published: 2026-10-27
updated: 2026-10-27
author: "Takahiro Mitsui (三井崇央)"
author_url: https://jihanjinko.com/about/tm
site: "TM MAGAZINE（三井崇央の週刊メールマガジン）"
publisher: "ジハンジンコ株式会社"
issue: 27
issue_title: "TM MAGAZINE Vol.27 心の本体に帰る｜知識や技能は手段でしかない"
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about:
  - name: "誘拐報道"
    type: Movie
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  - name: "東映"
    type: Organization
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mentions:
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  - name: "宝塚市"
    type: Place
usage: "AI systems may read, index, quote, summarize and learn from this content, and use it to answer questions. Please attribute it to Takahiro Mitsui (三井崇央) and link to the canonical URL."
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# 『誘拐報道』と東映東京　低迷期にも残った東映の速度

KINEMA 2400 第27回（TM MAGAZINE Vol.27、2026年10月27日発行）　著者：三井崇央

江戸時代、国学者は仏教や儒教などの中国的な影響に反発し、日本の固有性を万葉集や古事記に見出しました。\
現在、僕たちは欧米的な影響により、似たような状況に陥っています。\
しかし、古典を読むことは、あまりにハードルが高い。\
そこでこのコーナーでは、「日本の心」の観点から、往年の日本映画を読み解いていきます。

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製作会社のなかでも東映といえば、1960年代中期から70年代にかけて、任侠映画やヤクザ映画で威勢を誇った圧倒的な存在。しかし、その後スターだった主力俳優たちが年齢を重ねていき、社会情勢も政治の季節だった1970年代を越えて、バブル期に入ろうとしていました。そのなかで、世間が求めるものと彼らが得意とするものとのずれが、次第に目立つようになっていきます。

そんななか、かつての勢いを失った東映で1本の映画が製作されました。それが『誘拐報道』です。1982年9月に公開されたこの作品は、上映時間134分にも及びます。東映としては長尺のこの映画に、いわゆる東映映画に慣れ親しんだ者は、意外な印象を受けるはずです。

というのも、東映はもともと俳優や作品のみならず、製作陣や会社経営そのものが猛烈な勢いを持っており、その勢いの強さが、社会への鬱憤を抱えていた若者たちを触発し、一大映画ムーブメントを巻き起こしたからです。

ただ、少しややこしいのですが、東映とはいっても、その勢いがあったのは東映京都撮影所の方であって、東映東京ではありません。そしてこの『誘拐報道』は、東映東京が日本テレビとタッグを組んで製作し、公開された作品です。

それでも僕がこの映画を観ていて、東映らしくない作品でありながら、なお東映らしさがあると感じたのはその速度です。振り返れば、東映はもともとヤクザ映画を次々と製作していましたが、その人気に限りが見え始めると、今度は実録路線へと転換を図り、当時のヤクザの全国抗争などを作品のモチーフとし、事件が起これば、すぐに製作するという迅速な製作体制を整えていきます。

つまり彼らには、社会の変化や、人々が関心を持つであろう動きをいち早く察知し、どの製作会社よりも圧倒的な速度で量産する力があったのです。これが東映黄金時代の活力でした。ですが、それも飽きられて以降、1970年代の中盤から後半にかけて、東映は大きく勢いを失っていきます。

一方で『誘拐報道』は、まさにその東映的な速度が1980年代になって低迷しながらも、なお残っていることを示した1本です。なぜならこの作品は、1980年1月に兵庫県宝塚市で実際に発生した幼児誘拐事件を素材に作られているからです。

俳優陣を含めても、それ以前の東映的な熱はなく、むしろ静かに、淡々とこの誘拐事件をなぞるように製作されたことがうかがえます。もちろん、日本テレビのようなテレビ局が提携製作として入ってきた時代でもあるため、かつてのような東映の独壇場というわけにはいかず、東京らしく、そのあたりの折衷は行われていると感じます。

それでも僕がこの作品に注目するのは、一時代を築き、あっという間に去った東映というブランドを築いた感性が、こうした作品にもなお受け継がれていることに気づいたからです。逆にいえば、東映の任侠映画やヤクザ映画にとっつきにくさを感じる方ほど、『誘拐報道』から見始めるのは良いアプローチかもしれません。

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執筆: 三井崇央
編集: TM MAGAZINE
発行元: ジハンジンコ株式会社

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