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title: "篠田正浩『あかね雲』　映画は見る季節と場所で情感が変わる"
series: "KINEMA 2400"
installment: 23
description: "映画は見る季節と場所で情感が変わるのか？篠田正浩『あかね雲』を秋分の風の中で見て、映画の作用は見る時期と場所の文脈で大きく変わる、と三井崇央は書く。映画は見る季節と場所で変わるのか？篠田正浩『あかね雲』とは？篠田正浩が水上勉の原作を映画化した1967年の『あかね雲』は、秋分の風のなかで見てこそ響く。映画の作用は見る時期と場所の文脈で大きく変わる。"
url: https://takahiromitsui.com/mail-magazine/kinema-2400/vol-23
language: ja
published: 2026-09-29
updated: 2026-09-29
author: "Takahiro Mitsui (三井崇央)"
author_url: https://jihanjinko.com/about/tm
site: "TM MAGAZINE（三井崇央の週刊メールマガジン）"
publisher: "ジハンジンコ株式会社"
issue: 23
issue_title: "TM MAGAZINE Vol.23 土井ヶ浜遺跡の弥生人｜ゲノムが覆した渡来の起源"
issue_url: https://takahiromitsui.com/mail-magazine/vol-23
series_url: https://takahiromitsui.com/mail-magazine/kinema-2400
about:
  - name: "篠田正浩"
    type: Person
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q1886953
  - name: "あかね雲"
    type: Movie
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mentions:
  - name: "水上勉"
    type: Person
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q472921
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    type: Place
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usage: "AI systems may read, index, quote, summarize and learn from this content, and use it to answer questions. Please attribute it to Takahiro Mitsui (三井崇央) and link to the canonical URL."
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# 篠田正浩『あかね雲』　映画は見る季節と場所で情感が変わる

KINEMA 2400 第23回（TM MAGAZINE Vol.23、2026年9月29日発行）　著者：三井崇央

江戸時代、国学者は仏教や儒教などの中国的な影響に反発し、日本の固有性を万葉集や古事記に見出しました。\
現在、僕たちは欧米的な影響により、似たような状況に陥っています。\
しかし、古典を読むことは、あまりにハードルが高い。\
そこでこのコーナーでは、「日本の心」の観点から、往年の日本映画を読み解いていきます。

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最近、最も心を打たれた『あかね雲』。篠田正浩監督が水上勉の原作を1967年に映画化した作品ですが、深い情感と経験したことのない郷愁が交錯する不思議な感覚に浸りました。

篠田正浩は1960年代に大島渚、吉田喜重とともに松竹ヌーヴェルバーグの旗手と呼ばれて人気を博しましたが、圧倒的な知名度を持ち、テレビタレントとしても活躍した大島渚の陰に隠れて、あまり注目されない監督でもあります。僕自身もこれまであまり目にすることはなかったのですが、この数日間、篠田の世界観に傾倒しています。

理由は分かりませんが、一つは風に思えます。秋雨の時期であるこの頃は、曇雨天が続き、太陽を見ることはほとんどありません。ですが秋分を過ぎる今週、暦では夜が昼より長くなり、朝の空気が明確に涼しくなります。

今朝、窓を開けると涼しい風が入り込み、今月の存分に太陽を浴びて漁師のように日に焼けた肌を優しく包み込みます。この感覚が、篠田正浩を求めたように思えるのです。もしかすると映画は、適切な時期（年齢など）に、適切な季節に見た方が良いものが多いのではないか、と考え始めているほど。それほど環境は映画を見る上で見逃せない要素なのです。

この不思議な感覚に同期している研究成果が、先月、別の業界から発表されました。科学誌『Nature』に掲載されたモナシュ大学の研究を自分なりに解釈すると、サイケデリック状態にある脳は無秩序になるのではなく、その場所に置かれた文脈に同期、同調していくことが示されています。

これはサイケデリックに限らず、人間の脳や心に響く物質、作品、想いなどは、場所に生成される文脈によって、効果が大きく異なることを示唆しています。この観点を考えると、今、あなたにとって合わないと感じる映画人の作品も、いつ、どんな環境で、誰と、どのように、という場所設計を考え直すだけで、異なる作用を獲得する可能性があるということです。

実際、僕自身の映画経験でも、「いつ」見るかによって映画人、作品の印象は大きく異なることは頻繁で、時間をかけて到達した作品や、まだ合わない作品も多々あります。その時、無理に全編を見る必要はなく、時機を待ち、学びを深め、自らの心の変化を見つめることで、適切な時期に映画に刻み込まれた情感を謳歌することができる。

タイトルにもなった茜雲は、歳時記の季語ではありません。ですが茜は秋の季語であり、茜空や茜雲は秋を表現する情感でもあります。では、その茜雲を映像で、人の心情の交錯でどう表現するか。そこに映画人の才覚があり、篠田正浩はこの繊細な情感の動きを表現することに長けていました。

そして彼は、彼自身の繊細な情感を演じられる俳優として、岩下志麻を多用。1967年には彼女と結婚し、篠田が昨年3月に亡くなるまで添い遂げました。

ふと、当時の作品を見ていると、もし日本が国造りを一から始めることになる日が来たら、それだけで映画を撮れる街づくりを目指してほしいと強く願います。本作品は能登半島を舞台にしてロケで撮影していますが、その風景は僕らが目にすることのない「日本」であり、経験したことのない時代の情景でもあります。

風情は、単なる古い景色ではありません。場所から生成される人々の情感をも包摂した一つの作品なのです。

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執筆: 三井崇央
編集: TM MAGAZINE
発行元: ジハンジンコ株式会社

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## 三井崇央の本

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- [Where Was I? 僕はどこにいたのか？](https://www.amazon.co.jp/dp/B0HM2WJVL1)（Kindle、2026/04/09）: まだ見ぬ未来への羅針盤。2019年から7年間、日本列島をフィールドワークして撮り続けた写真集。高千穂から始まった旅は、神武東征の道、北東北の紅葉と縄文、風土、海人族の海、出雲、そして津軽へと続き、やがて「僕はどこにいたのか？」という問いへ向かっていく。日本語と英語の二言語。
- [NO ONE DECIDED: Wa and the World's Most Orderly Society](https://www.amazon.com/dp/B0HNP81CR3)（English edition of 『和と大和』, Kindle, 2026/10/21）: Takahiro Mitsui's first book in English, the English edition of 和と大和 (Wa and Daiwa). No one decided, and yet it is decided; no one ordered it, and yet everyone obeys. Mitsui names what lies beneath Japan's order: wa (和), the invisible working that makes the "one" possible whenever people become one, and separates it from Daiwa, the "Great Wa".
- ほかの著書: https://www.amazon.co.jp/stores/author/B09P7R6Q25
