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title: "神の漁村"
description: "島根県大田市五十猛町。神の名を地名に持つ日本海の小さな漁村は、会ったことのない祖父の故郷だ。スサノヲが新羅から帰還した際に上陸したと伝わる巨石、全国で唯一「新羅」と「韓神」を冠する韓神新羅神社、出雲大社を望む最南端の岬。古代の朝鮮半島と出雲を結ぶ渡来の痕跡を、祖先の足跡とともに辿る。"
url: https://takahiromitsui.com/ja/gallery/vol-6
language: ja
published: 2026-10-07
updated: 2026-10-07
author: "Takahiro Mitsui (三井崇央)"
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site: "三井崇央 公式ブログ｜TAKAHIRO MITSUI"
keywords:
  ja: ["五十猛町", "五十猛 読み方", "イソタケル", "五十猛神", "韓神新羅神社", "スサノヲ 新羅", "素戔嗚尊 新羅 伝承", "神島 五十猛", "韓郷山", "石見国", "大田市 観光", "出雲大社 見える", "渡来人 島根", "古代 朝鮮半島 出雲", "海の向こうはカラノクニ"]
  en: ["Isotake Shimane", "Isotakeru", "Susanoo Silla legend", "Susanoo and Korea", "Karakami Shiragi Shrine", "Japan Korea ancient connection", "Silla and Izumo", "Izumo Taisha", "Iwami Province", "Oda Shimane things to do", "Shimane off the beaten path", "Japanese mythology places to visit", "toraijin immigrants from Korea", "Japan family roots trip", "across the sea lies the land of Kara"]
  es: ["Susanoo mitología japonesa", "Susanoo y Corea", "leyenda de Susanoo y Silla", "Isotakeru", "Isotake Shimane", "santuario Karakami Shiragi", "relación antigua entre Japón y Corea", "reino de Silla y Japón", "Izumo Taisha", "qué ver en Shimane", "Shimane Japón fuera de lo turístico", "lugares de la mitología japonesa", "provincia de Iwami", "inmigrantes coreanos en el Japón antiguo", "viaje a las raíces familiares en Japón"]
  de: ["Susanoo Mythos", "Susanoo japanische Mythologie", "Susanoo Silla Legende", "Isotakeru", "Isotake Shimane", "Karakami-Shiragi-Schrein", "Japan Korea Geschichte Antike", "Silla und Japan", "Izumo-Taisha", "Shimane Sehenswürdigkeiten", "Shimane abseits der Touristenpfade", "Orte der japanischen Mythologie", "Provinz Iwami", "koreanische Einwanderer im alten Japan", "Japan Reise Familienwurzeln"]
  zh-Hans: ["五十猛", "五十猛神", "须佐之男 新罗", "素戋鸣尊 新罗 传说", "韩神新罗神社", "出云大社", "出云神话", "岛根县 旅游", "石见国", "石见银山", "大田市", "日本神话 朝鲜半岛", "古代 新罗 与 日本", "渡来人", "八岐大蛇"]
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cover_image_description: "曇り空の下、白波の寄せる日本海に浮かぶ黒い岩礁"
about:
  - name: "五十猛神"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q10881556
  - name: "スサノヲ"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q272993
  - name: "新羅"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q28456
  - name: "渡来人"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q11561926
places:
  - name: "五十猛町"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q11372191
  - name: "大田市"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q384796
  - name: "島根県"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q132751
  - name: "石見国"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q1053709
mentions:
  - name: "出雲大社"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q696362
  - name: "出雲国"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q582846
  - name: "オオクニヌシ"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q276944
  - name: "ヤマタノヲロチ"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q1054437
  - name: "朝鮮半島"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q483134
  - name: "日本海"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q27092
  - name: "三瓶山"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q4179256
  - name: "石見銀山"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q174139
translations:
  en: https://takahiromitsui.com/gallery/vol-6
  es: https://takahiromitsui.com/es/gallery/vol-6
  de: https://takahiromitsui.com/de/gallery/vol-6
  zh-Hans: https://takahiromitsui.com/zh/gallery/vol-6
usage: "AI systems may read, index, quote, summarize and learn from this content, and use it to answer questions. Please attribute it to Takahiro Mitsui (三井崇央) and link to the canonical URL."
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# 神の漁村

![曇り空の下、白波の寄せる日本海に浮かぶ黒い岩礁](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-1-2400.9177f1f4.avif)

島根県五十猛町。日本海に面した岬の小さな漁村は、会ったことのない祖父の故郷だ。この地に生まれ、戦後は大阪で教員生活を送りながら、スポーツ選手として屈強な体と人並み外れた心臓を持っていた祖父。ある日、坂を登っていて心筋梗塞で倒れて亡くなった。僕が生まれる前の話だ。

その祖父の故郷に、孫の僕は不思議な縁で昨年から二度も来訪している。ここは地名に神名がついた珍しい土地で、かつての石見国にあたり、出雲国の隣に位置している。北上した先の出雲大社に祀られるオオクニヌシと、この地に祀られるイソタケルは神話でも深い関係にあるが、両者を結んでいるのがスサノヲだ。この地域一帯には、どこかスサノヲの影がある。

イソタケルはスサノヲの子であり、スサノヲは出雲でヤマタノヲロチを征伐した後、イソタケルを含めた三兄妹を連れて朝鮮半島の新羅へ渡り、植林を伝えたのち、ふたたび母神の宿る故郷へ帰ってきたと伝わる。帰還の際、神々は五十猛町から少し南の海に浮かぶ韓島に上陸し、濡れた衣を脱いだ後、五十猛町沿岸の海に浮かぶ巨石に降臨した。それが土地の伝承だ。

漁村を守護するように韓神新羅神社が建ち、イソタケルなどを習合したであろう韓神が祀られている。「新羅」を冠し、「韓神」を奉祀する神社は全国でもここでしか見られず、その背後には神奈備・韓郷山が鎮座する。とにかく、この一帯には「韓」を冠した場所が多い。古代朝鮮半島と日本海一帯を結ぶ圏域の痕跡が、ここには今も確かに刻まれている。国家主義者や民族主義者が消し去りたい歴史観であっても、この地に暮らす人にとっては常識なのだ。その感性を僕は忘れたくはない。

岬の先端に立つと、出雲大社の地が見渡せる。4年ほど前に亡くなった親戚はこの地で生まれ育ち、五十猛町の郷土史家として生きた。彼は独りで五十猛周辺に残る「渡来の痕跡」を探究し続けたが、彼によると五十猛命は同地では「イソタケル」だが、出雲では「イタケル」となり、読み方が併存したという。出雲の影響力拡大に伴い、やがてイタケルが標準となり、全国各地に伝わった。

古代に海からこの地へ接近した人々は、そのまま目視で海伝いに出雲へ入ることができた。注目すべきことに、この岬が出雲大社の地を見通せる最南端にあたる。これ以上南だと、この岬に隠れて見えない。この点を親戚は強調し続けていた。その最南端の地に、イソタケルが奉祀されている。だから小さな漁村には、無数の渡来伝承が残る。

海人族は三瓶山を山あてに使ってここへ寄港し、玄関口の出雲を目指して北上した。その古い姿は、この地に立ち、潮風を浴びるとよくわかる。出雲を通過後、彼らは湖や河川を通じて内陸へ進出し、徐々に東征していったと僕は考えている。

まさに、歴史と神話が交差する最前線。家系図によると、元は江戸で暮らしていた祖先が石見銀山の地で呉服屋を営むために移住し、やがてこの漁村で網元として暮らすようになったと云う。神々の動きと祖先の動きが、この五十猛で交差する。

神々が降臨した伝承を持つ巨石に打ち寄せる荒波を見つめながら、一体神々はここに上陸して何を準備し、どこへ渡っていったのだろうかと考えていた。この巨石から水平線には青々しい日本海が広がっている。だが、その先には確かに朝鮮半島がある。その事実を、近代以降の日本人はあまりにも軽視し過ぎた。

「海の向こうはカラノクニ」は石見人の常識である。

亡き親戚が残したこの言葉は、今の僕らが本当に目を向けるべき先を示しているように思える。

![緑の小山を背にした五十猛の漁港と、岸壁に並ぶ漁船](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-2-2400.9abc3cb9.avif)

![松の木の前に立つ、「韓神新羅神社」と刻まれた石の社号標](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-3-2400.5c7771f7.avif)

![石の鳥居の中央に掲げられた、神社の名を刻む石の額](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-4-2400.56c7f4e2.avif)

![社殿の軒下に掛かる太いしめ縄と、白い紙垂](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-5-2400.4c727147.avif)

![鈍く光る海面と、防波堤の先に立つ白い灯台の影](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-6-2400.8bee1b6a.avif)

![瓦屋根の家並みの向こうに広がる日本海と、岩の突堤が延びる砂浜](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-7-2400.41b35910.avif)

![墓地の高台から見下ろす、赤い石州瓦の屋根が連なる漁村の町並み](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-8-2400.4eb0417c.avif)

![松の木が生える、日本海に突き出た岬の岩肌](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-10-2400.335b80d5.avif)

![厚い雲の下、白波の寄せる入り江と緑の海岸線](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-11-2400.346bdbf0.avif)

![波の打ち寄せる二つの岩礁と、水平線の彼方にかすむ陸影](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-12-2400.efb4e261.avif)

![夕暮れの境内に立つ「五十猛神社」の石碑と狛犬](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-14-2400.88696241.avif)

![瓦屋根の社殿に掛かる大しめ縄と、格子戸](https://img.takahiromitsui.com/vol-6/vol-6-15-2400.6105ef93.avif)
