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title: "封じられた轟音の記憶"
description: "南海トラフ地震で最大34.4mの津波が想定される高知県黒潮町へ。津波避難タワーに登り、1854年の安政津波を刻む石碑が伝える前兆「鈴波」を知る。日本の旅を本気で楽しむために、自然災害への備えと心構えを旅の設計に組み込むという記録。"
url: https://takahiromitsui.com/ja/gallery/vol-5
language: ja
published: 2026-10-02
updated: 2026-10-02
author: "Takahiro Mitsui (三井崇央)"
author_url: https://takahiromitsui.com
site: "三井崇央 公式ブログ｜TAKAHIRO MITSUI"
keywords:
  ja: ["南海トラフ地震", "南海トラフ地震 いつ", "南海トラフ地震 津波 高さ", "南海トラフ 周期", "黒潮町 津波 34.4m", "黒潮町", "津波避難タワー", "安政南海地震", "安政津波 石碑", "鈴波", "津波の前兆", "高知県 津波", "旅行中の地震 備え", "外国人観光客 地震 対策", "三陸 津波 痕跡"]
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  de: ["Japan Reise Erdbeben", "Erdbeben in Japan was tun als Tourist", "Japan Reise sicher Erdbeben", "Japan Urlaub Naturkatastrophen Vorbereitung", "Nankai-Graben Erdbeben", "Nankai Megabeben", "Nankai-Graben wann", "Tsunami-Evakuierungsturm Japan", "Kuroshio Kochi Tsunami 34,4 Meter", "Kōchi Sehenswürdigkeiten", "Ansei-Nankai-Erdbeben 1854", "Anzeichen Tsunami", "Katastrophenschutz Japan Touristen", "Sanriku-Küste Tsunami"]
  zh-Hans: ["日本旅游 地震", "去日本旅游遇到地震怎么办", "日本旅行 防灾准备", "日本地震 游客 注意事项", "南海海槽大地震", "南海海槽地震 什么时候", "南海海槽 地震 周期", "海啸避难塔", "黑潮町 海啸 34.4米", "高知县 旅游", "安政南海地震", "海啸前兆", "铃波", "三陆 海啸"]
cover_image: https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-og.583f6e03.jpg
cover_image_description: "木立の中に立つ、苔むした「南海大地震の碑」"
about:
  - name: "南海トラフ巨大地震"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q6963731
  - name: "津波"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q8070
  - name: "自然災害"
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places:
  - name: "黒潮町"
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  - name: "中土佐町"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q1350193
  - name: "高知県"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q134093
  - name: "四国"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q13991
mentions:
  - name: "南海トラフ"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q3249284
  - name: "安政南海地震"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q4554893
  - name: "三陸"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q1318603
  - name: "東海道"
    wikidata: https://www.wikidata.org/wiki/Q963514
translations:
  en: https://takahiromitsui.com/gallery/vol-5
  es: https://takahiromitsui.com/es/gallery/vol-5
  de: https://takahiromitsui.com/de/gallery/vol-5
  zh-Hans: https://takahiromitsui.com/zh/gallery/vol-5
usage: "AI systems may read, index, quote, summarize and learn from this content, and use it to answer questions. Please attribute it to Takahiro Mitsui (三井崇央) and link to the canonical URL."
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# 封じられた轟音の記憶

![木立の中に立つ、苔むした「南海大地震の碑」](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-1-2400.ea2bfce2.avif)

国も街も、あっという間に変わる。僕の短い人生で言えば、インバウンドの数が未曾有のレベルに達し、旅行者に限らず、移民国家・日本に誰もが生きるようになった。

ただ「日本を旅する」となると、今も多くの方々の旅程に設計されていないものがある。それが、自然災害との遭遇だ。旅行は日常から離れて楽しむ時間だから、あまりネガティブなことを考えたくない気持ちは分かる。

だが、そもそも日本は世界有数の地震大国であり、多くの火山を抱える土地のため、いつ、何時、災害に遭遇するかは予見できない。だからこそ、本気で日本の旅を楽しむためには、それ以上の備えと心構えが命運を決する。それは本気で楽しむための必需品なのだ。

最近の僕の旅を振り返っても、自然災害を設計に組み込み、意識するようになった。何しろ大地震に見舞われれば、旅以上に国家や社会が一変する可能性が高く、その上、地震慣れしていない大量の外国人の存在も考慮せねばならない。この時、特に念頭に置いているのが南海トラフ地震だ。

南海トラフ地震は、大体100〜150年周期で発生するが、1944〜1946年にかけて起きて以降は発生していない。つまり、東海道を軸に高度経済成長が成立した日本経済の大動脈は、この地震によって壊滅する可能性が高い。そして先人は、このとてつもない自然のエネルギーに直面した記憶を百年後の子孫に伝えようとした。それほど、恐ろしい記憶なのだ。

壊滅的な被害を受ける太平洋沿岸部の中には、地震発生からわずか2分以内に津波が到達すると予測されている地域もある。中でも津波が最大34.4mに達するのが、高知県黒潮町だ。

平均寿命の80歳頃まで生きるなら、あと45年ある。南海トラフ地震の周期を考えれば、僕の生涯で起きると考えた方が良い。でも、津波の高さが34.4mと聞いても誰もピンと来ない。そこで来たる未来を知っておくために、黒潮町に向かった。

美しい海辺が広がる静かな港町には、古い町屋が並んでいるが、その中にいくつか高い塔が目に入る。津波からの避難タワーだ。このような避難タワーは、津波のない地域で暮らす人々にとっては、目にすることのない日常である。

目の前に立つと、その高さに圧倒されるが、何より恐ろしいのは一番上に登った時だ。

「ここまで逃げなければ、津波に呑まれるのか」。それはいくら想像を働かせても、実感が湧くものではない。

だが、かつて津波被害に遭った三陸沖一帯を巡っていた時、そこには確かに、想像を絶する巨大な津波が発生した痕跡が色濃く残っていた。あの感覚があるからこそ、黒潮町の避難タワーが大袈裟なものではないことは理解できる。

冷酷な事実として、地震はいつ起きるかわからない。江戸時代末期の1854年11月5日に起きた「安政津波」を書き記した土地の石碑によれば、4日昼にかすかな地震があり、潮が渚に満ちてきて、「鈴波」と呼ばれる現象が起きたと伝えている。この鈴波が津波の前兆だと、先人は警告している。

実際、安堵した人々は5日には日常生活に戻ったが、午後4時に大地震が発生し、全てが倒壊して付近の川に潮がみなぎると、一気に津波が来襲した。しかも、第1波、第2波、第3波、そして第4波が最大となり、夜までに7回もの津波が襲って全てが海になったと云う。

先人は「鈴波が津波の前兆だ」と後人に警告している。

いくつかの避難タワーに登ってみると、聞こえてくるのは松林の先から響く低い波音だけ。鈴波に気をつけろという先人の警告には、同時に、彼らしか聞いていない轟音の記憶が封じられている。

日本を本気で楽しむためには、完璧なスケジュールやレストランの予約以上に、誰よりも自然災害の準備と心構えが必要なのだ。

![黒い石碑に刻まれた「土佐の海」で始まる崩し字](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-2-2400.5033d423.avif)

![海へと続く参道に重なる二つの石の鳥居としめ縄](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-3-2400.43ec8f16.avif)

![「津波避難タワー入口」の看板と、駐車場の上に架かる避難用の通路](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-4-2400.cfacbaff.avif)

![「大漁」の旗が下がる、高知県中土佐町の久礼大正町市場](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-5-2400.143187b5.avif)

![円筒形の津波避難タワーと、そこへ上るスロープ](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-6-2400.0aca110b.avif)

![中土佐町の津波避難タワー「純平タワー」の看板と、最大級津波の想定高を示す概要図](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-7-2400.b584f689.avif)

![曇り空の下、山あいに広がる瓦屋根の町並みと白い塔](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-8-2400.128a4da6.avif)

![白い苔に覆われた古い石](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-9-2400.ede5db47.avif)

![雲の垂れこめる山並みと、白い波が寄せる長い砂浜](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-10-2400.19fba4b1.avif)

![松林の幹越しに見える、白波の立つ海と岬](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-11-2400.c8da70bb.avif)

![暗い雲の下、丘の上に立つ円形の津波避難タワー](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-12-2400.1642bcbd.avif)

![高台から見下ろす、海岸の松林と太平洋](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-13-2400.697c045c.avif)

![青い夕空を背にした松林のシルエット](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-14-2400.2600afff.avif)

![外階段と大きな階段を備えた、白い鉄骨の津波避難タワー](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-15-2400.75a064b3.avif)

![避難タワーの内側から見上げる、鉄骨の梁と曇り空](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-16-2400.e8dbb0c6.avif)

![高台から見下ろす田畑と、道路沿いのガソリンスタンド](https://img.takahiromitsui.com/vol-5/vol-5-17-2400.8da0ea5b.avif)
